ブッドレアに来たアゲハ

一週間近く夏眠状態が続いている。

「蝶が来てますよ」カミサンの声に、読書を中断して75-300mmズームを持ち出した。
連日の炎暑に痛めつけられ僅かばかりの花をつけているブッドレアに、アゲハが来ていた。



アゲハを数ショットした後読書に戻り、栞を差し入れていたページを開いて、「フェリーが発着している鬼池の波止場......」という一節を眼にした時、突然7年ほど前の10月の半ばカミサンと九州旅行をした時のことを思い出し、それをきっかけに様々な風景を思い浮かべていた。

読んでいたのは司馬遼太郎の「街道をゆく 島原・天草の諸道」
司馬さんたちは対岸の島原口之津からフェリーで鬼池港にやって来るのだが、私たちは雲仙温泉に宿をとっていたから鬼池港からフェリーに乗るのだ。

文中には「......下島北東角の鬼池港についたとき、港の規模が、あらかじめの思いこみとはちがい、拍子抜けするほど小さいことに驚かされた」とある、司馬さんたちがここにやって来たのはいつの頃かは判らないが、司馬さんが驚いたように、私たちが訪れたときも小さなフェリー乗り場と10台も車を乗せれば満載になるようなフェリーだった。
鄙びたフェリー乗り場や港の風景、堰堤の向こうに広がる早崎瀬戸の海の青さ、鮮やかに思い出される。
フェリー乗り場の近くの小さな食堂で早めの昼食、海鮮丼をたのむ、新鮮な魚介類が美味かったのを覚えている。

天草・島原、もう一度訪ねてみたくなっている。
カミサンを誘い出して平戸へも行ってみるか。