空蝉

夕方遅く玄関先で水撒きしていて、タカサゴユリの葉にしがみついているセミの抜け殻を見る。
よくよく見て廻ると、猫の侵入を防止するために設えている網柵にも、ブッドレアの木にもくっついていた。
昨夕の水撒きの時には全く気付かなかったから、昨夜半から今朝にかけていずれも羽化したようだ、庭先という撮影には絶好の場所、羽化のプロセスを撮りたかった。

抜け殻の主が何なのか確とは判らないが、アブラゼミだと自分の中で妙に断定していた。
それというのも今朝早く書斎の窓を開けた時、金木犀の木から聞こえてきた耳を聾するほどの鳴き声は、アブラゼミの鳴き声だった。


 無為にして ひがな空蝉 もてあそぶ   茅舎

2ヶ月に一度の定期検診から帰った後は、この川端茅舎の句にも似た過ごしだった。