湖国にも木枯らし1号、寒々とした風が時折吹き荒れる一日だった。
階段下の道際は風溜まりになっているのか驚くほどの落ち葉が吹き寄せられている。
擁壁に這うツタの葉が落ちてしまうまでは、これから先も風が吹き荒れる度に掃除が大変だ。
四時過ぎ夕刊を取りに出た折、門扉の先にオンブバッタがいるのを見付ける。
この寒空の下のオンブバッタだ。
バッタの仲間はとっくに姿を消しているはずなのにと思いながらカメラを持出した。
これまで何度か玄関先や階段にオンブバッタが来ているのを見掛けたことがあるが、こんなに晩い時季に見た記憶はない、オンブバッタの飛翔力などは極々僅かだと思う、何処からここまでやって来たのだろうか。
寒風の中のオンブバッタと厚手のブルゾンを羽織ってファインダーを覗いているカメラマン。
妙な取り合わせだなと可笑しくなっていた。
ル=グウインの評論集「世界の果てでダンス」篠目清美訳 白水社 を読み始める。
3章ほど読んできたが、集中力の劣化した老躯には相当に重い内容だ。
厄介なものに手を出したという思いがしてきている。