孤影

午前5時45分書斎のカーテンを開け放った時、眼下の湖面一面がが朱色に染まっているのを見る。
その朱色の湖面に一艘の漁船がいるのを見付け、EOS5Dに150-600mmを装着し窓から突き出した。

何年か前、沖合に稚鮎捕りの舟がいるのを書斎の窓から見つけた時は、急いで湖岸まで車を飛ばして思いの1ショットを手に入れたが、今ではその行動力が失われているのだ。
朱色の湖面に漂っている漁船の様子から見て、しばらくは其処に留まっていてくれそうだ、車を出せば.......そんなことを思い、いろんなことを思い描きながら窓際に立っていた。

第15回日本風景写真協会滋賀支部作品展で拝見した八木武さんの作品「孤舟」の素晴らしかったことを思い出していた。
早朝の黄金色の縞模様をなす湖面に浮かぶ釣り船のシルエットを見事に切り撮った作品だった。

書斎からのこの1ショットを写真仲間たちとの写真展に出すとすれば、タイトルは「孤影」にしよう。

PCに取り込んで拡大してみていると、何かの鳥が2羽翔んでいるショットもあった、湖岸に急行していれば思いもよらぬシーンが待っていてくれたかもしれない。
行動力が鈍っている老躯は偶然のチャンスを物に出来ないでいるのかもしれないのだ。


Aさんの菜園の斜面で、白い彼岸花が咲き始めた。