小さな谷間の畑へ下りる坂道の途中で、タンポポの綿毛の上に小さなカメムシの仲間がいるのを見付け、斜面を滑り降りた。
肩口に白い二つの斑紋を持っている、ムラサキシラホシカメムシのようだ。
体長5mmほどのムラサキシラホシカメムシを撮ったことから、今日は体長10mm以下の虫探しに専念してみようと思い立ち、草叢や草の斜面を丹念に探した。
小1時間足らずの虫探しだったが、目的の小さな小さな虫達が撮れた。
草叢にしゃがみこみ、ササグモとヤブキリの動きをファインダー越しに追い続けていた時、背後から声をかけられドキッとする。
一段上の道に野草摘みに来たと思われる老年の女性が二人立っていた。
「熱心に撮られているようですが何を撮っているんですか」
私は彼女たちの気配を全く感じなかったが、暫く立ち止まって私の様子をみていたようだ。
連写で何度もガシャガシャやっていたから何事だろうと思ったようだ。
小さな小さななクモとこれも小さなヤブキリが草の葉の上でにらめっこをしていることを話す。
虫撮りをしていてこれまで何度か声をかけられたことがある。
時には不審者と思われて誰何されたこともあった。
棚田の農道に腹這いになっていて車の近づくのに気づかずクラクションを鳴らされたこともある。
老躯、耳が遠くなっている、人の気配を敏感に感じる感覚も鈍っている、用心した行動を心掛けねばなるまい。
本日好日。