アゲハヒメバチ

擁壁に這うツタが落葉を始めた。
掃き掃除を忘れていたりすると風に吹き飛ばされてお近所迷惑にもなることから、ツタの葉を全て取り払う作業にかかる。この作業が年々厳しくなっている。

作業をしていて、非常に珍しい物を見付けた。
干乾びたアゲハのサナギの腹部に開いた穴から何者かが貌を出しているのだ。
一瞬エイリアンを想像した。

書斎に持ち帰りピンセットを使ってそのエイリアンを引っ張りだす。
エイリアンはアゲハに寄生するアゲハヒメバチだった。


アゲハのサナギの体内で一連の過程を経た後羽化したアゲハヒメバチが、サナギの腹部を食い破って外に出ようとしたが、何らかの原因で脱出できずミイラ化したのだ。
これまでに腹部に穴の開いたサナギはかなりな数見てきたが、今回のようなものは初めてだった。

アゲハヒメバチはアゲハの幼虫の身体に直接産卵管を刺し体内に卵を産み付けるという。
アゲハヒメバチがアゲハの幼虫に産卵管を刺して卵を産み付けているシーンを見たいと思うが、万に一つも叶わぬ夢だろう。