シオヤアブの獲物

道路に散らばるツタの落葉を掃き集めていて、シオヤアブがギンヤンマを抑えこんでいるのを見る。
道路の真ん中にいるのだ、車に踏み潰されないことを祈りながらカメラを取りに戻る。


レンズを至近距離に近づけてもシオヤアブは飛び立とうとしないのだ。
ギンヤンマもシオヤアブも死んでいるように見える。

肉食性の獰猛なシオヤアブは一度獲物を捉まえると放すことがないといわれる。
そんなことを思い出し、シオヤアブは死んでいるのか、それとも生きているのか知りたくてそっと持ち帰った。
玄関先に白紙をしき撮っている間もシオヤアブは全く無反応だった、やはり死んでいるようだ。

道路の真ん中にいたギンヤンマとシオヤアブ。
シオヤアブは飛翔しているギンヤンマに襲いかかり、捉まえると同時に道に落下したのだろうか。
ギンヤンマもシオヤアブもぴくりともしない、この状態になってからどれ位の時間が経過しているのだろうか。
小さな獲物を捕まえている時は近づくと獲物を抱えて飛び立っていくが、ギンヤンマを抱えたままでは人が近づいても飛び立てず、これが死につながったのだろうか。

いろんなことを想像していた。

午睡の後玄関に出てみてえっとなった、白紙の上はギンヤンマのみシオヤアブがいないのだ。
死んでいるとばかり思い込んでいたシオヤアブは生きていたのだ。

シオヤアブは台所の網戸にいた。