初冬の蜜蜂

庭の八手の花が咲き始めた。
初冬のこの頃から咲き始める八手の花は虫たちの貴重な蜜源なのだ。
花にはハナアブの仲間、オオクロバエやハエの仲間それに一匹の蜜蜂が吸蜜に来ていた。


風のない暖かい日には蜜蜂が何匹も来ることがあるが今日は寒空、一匹だけだった。

好きな山頭火の句に「晴れてくれそうな八ッ手の花」というのがあるが、Webで八つ手のことを調べていて見付けた「花八手蜂さむざむと飛べるのみ」・飯田蛇笏の句の方が今日の情景にはしっくりくる。 

この蜂さむざむとという文言から、先の朽木行きの時に見たある情景を思い出していた。
針畑川沿いの山道を走っていて、集落近くの山際に大きな丸太を抉り取って作られた巣箱が五個ほど点在して置かれているのを見たのだ。
蜜蜂が見られる、そんな思いで車を停めたが、どの巣箱にも蜜蜂の姿は見付けられずだった。
時雨に濡れた巣箱は妙に寒々しく暗かった。
何かの事情で巣箱から蜜蜂たちは姿を消したのだろうか。

来春になればこの巣箱も賑やかになるのだろうか、スズメバチが巣箱を襲うシーンを撮りたい、レンズに一直線に向かってくる蜜蜂をアップで撮れたら、いろんなことを想像していた。