トンボの眼の色

トンボの眼の色は何種類くらいあるのだろうか。
トンボ撮りをしながらふと思った。

トンボの種類によってそれぞれ固有な眼の色をもっているのだろうか。

ギンヤンマとかオニヤンマとかマユタテアカネ、ナツアカネ、キイトトンボなどとそのトンボの体色についてはいろいろと思い出せるが、眼の色となると全くと言っていいほど思い出せない。


トンボの眼の色は童謡にあるように光の受け方で変化するのだろうか。
トンボのめがねは みずいろめがね 青いおそらを とんだから とんだから 口ずさんでいた。

目の前のシオカラトンボの眼も、コバルトブルーと一言で済まされない複雑な色合いを持っている。


炎天下でのトンボ撮りの後、木陰に持参のビニールシートを拡げ、定番のホットコーヒーとサンドイッチで昼食だ。
撮り溜めたもののチエックをしていて、「トンボ玉」のことを思い出していた。
40数年も前だが、ある小さなガラス細工工房でシオカラトンボの眼の色のような「とんぼ玉」を見た事がある。

複数の色ガラス片をガスバーナで溶かしながら親指ほどの大きさのトンボ玉が作られる工程を見せてもらった。工房の主人が蒐集したという江戸期のトンボ玉や古代ローマのものなど貴重な品々をも見せてもらった。いずれもが一言では表現し得ない複雑な色合いとグラデーションを持っていたし、模様も様々だった。
工房の主は同僚だったKのお祖父さん。そのKからの音信も途絶えてから長い時間が経っている。
老兵は今日も独りで虫撮りしながら過去を喰っていた。