小さな命の終わり

撮影機材を車に積み込もうとしていて、眼の前の階段にフタオビドロバチがいるのを見付ける。


荷物を玄関先から運び下ろす時には気付かなかったが、階段のタイルの上をヨロヨロと這っているのだ。
指先で突っいてみるが飛び立つ気配はない。
次世代に子孫を残すという役目を終えたドロバチの最後の姿のように思える。

電気温水器を格納した壁に吊るしてある竹筒トラップでの営巣活動も、9月8日の巣作りを最後にその後の行動は見かけなくなっている。
階段で飛ぶことも出来ず弱りきっているハチが竹筒トラップに来ていたフタオビドロバチだと同定は出来ないが、不思議な感じで同じハチのように思えてならないのだ。

産卵という重要な役目を終えたハチの最後の姿を眼にしているのだ。

階段を上り降りする郵便配達の人や新聞配達の人に踏みつけられないようにと、階段の隅にハチを移動させ外出した。

虫撮りから帰ってみると、フタオビドロバチは命を終えていた。
骸には小さなアリが来ていた。