稚鮎とり

午前6時過ぎ書斎のカーテンを開けた時、稚鮎とりの漁船を見かける。

船の先端部分に稚鮎をすくい取るための網を付けた漁船が湖上で大きく弧を描いている。
どれくらいの漁獲量があるのだろうか。
昨年から鮎の数が少なくなると予想されてはいたが、予想以上に鮎の群れが激減しているようだ。

滋賀県水産試験場彦根市)の昨年9月下旬時点での調査報告では、2011年の産卵数は94億粒に対し2012年・昨年の流入河川での鮎の産卵数は僅か2億粒。
原因は不明とのことだが、9月の猛暑で生じた湖と河川の水温差、川の渇水などが鮎の遡上を妨げたこと、エサになる動物プランクトンの減少などが考えられるとも言われている。
いずれにしろ突然の産卵数の激減は1・2の原因だけではなく、いろんな要素が絡み合う複合要因だと思うから簡単に究明は出来ないだろう。

琵琶湖産稚鮎の出荷量が減れば各地の河川での鮎釣りにも影響が出ることだろう。
養殖物ではない川で獲れた鮎の塩焼きが喰いたい。
稚鮎とりの漁船を眺めながらしきりにそんなことを考えていた。

昔は竿の先にカラスの羽を付けたもので稚鮎を網に追い込む「おいさで漁」をよく見かけたが、今もそうした伝統的なアユ漁は行われているのだろうか。

比良山麓へ引越ししてきた頃は毎年のように5月に入ると、近くの漁港や小さな川の河口で稚鮎釣りをしていたが、そんな楽しみを忘れてもう長い時間が経過している。
小鮎が手に入ったら美味い食い方を考えてみよう。