群雀(むらすずめ)

暖かくて穏やかな夕刻だったので冬枯れの田圃道を歩く。
目的の一つは枯れ草の生い茂る放棄田でカマキリの卵嚢を探すことと、棚田の斜面にある柿の木でイラガの繭を探すことだ。
丹念に見て歩いたが残念ながらいずれも空振りだった。

一汗を掻いた帰り道、長い間眼にすることもなかったスズメの群れを見る。

群雀だ。
それにしてもなんと小さな群れだろうか。

ここへ引越ししてきた頃(40年近く前)には何十羽というスズメの群飛をよく見かけたし、稲刈り後の田圃で落ち穂に群がっている大群を見たが、今ではそんな光景を見ることは全くない。
また少年の頃父親に連れられて何度か夜の竹藪にスズメ捕りに出掛けたことがある。
大きな網を刺し網のようにして竹藪の一方に高く掲げ、一方の端から竹藪を叩いてスズメを網に追い込むのだ。
時には竹製の背負籠一杯の獲物があり、少年の私には持ち上げられないほどだった。
こんなスズメの大群は何処に消えてしまったのだろうか。

2008年、我が国のスズメの成鳥個体数は1800万羽と推定されている。
どんな方法で推定値が算出されたのか、またこの1800万羽という数が多いのか少ないのかよく分からないが感じとしては少ないように思われる。
スズメの個体数は減少の傾向にあり、50年前の10分の1になっているともいわれている。

あっと驚くような群雀を見なくなっている、寂しい限りだ。