コガタスズメバチの死

冷涼な朝露の草むらの感触を楽しむために素足にサンダル履きで散歩に出た。
ズボンの裾が濡れるのもお構いなしに草むらを歩き廻る。
草むらでゴマフリドクガの幼虫を見つける。

書斎の飼育箱に来てもらおうかなと思ったが、幼虫に比べ成虫のゴマフリドクガは地味な余り見栄えのしないガだったように思い、連れて帰るのを止めた。

朝露の道端でも、コガタスズメバチの死を見た。

コガタスズメバチの寿命はどれくらいなのだろうか。
この時季にハチの死を見たのは初めてだ。
このハチは今年生まれの第一陣のように思うが、もう寿命の終わりを迎える頃なんだろうか。

「小さな命の終り」というファイルを持っている。
昨年も幾つもの生命の終りを路傍で見つけ撮っているが今年はどんな死が見つかるだろうか。

コガタスズメバチの死骸にレンズを近づけながら、志賀直哉の短編「城の崎にて」にハチの死体を見るシーンがあったことを思い出していた。小説の内容は今ではほとんど思い出せないが、「城の崎にて」=ハチの死体、そんな奇妙な印象だけは今も残っている。

午後からは写真展の当番、昨夜も遅い就寝だったが居眠りせずにすんだ。