脱走した毛虫

「こんなに遅い散歩はpukuさんも嫌がりますよ」
そんなカミサンの声を背にしながら、孫の家までpukuさんを迎えに行く。
確かにこれからの時期の朝の散歩は午前7時までに終わってないと、暑さにやられる。

暑さと日差しを避けるため、木陰の多い裏山の祠の道へ向かう。
祠道を抜け小さな谷間の畑を見た時、あっ!と思った。
畑へ通じる細道も、畑も、畑の土手も、土手の上の竹薮の入り口も、全てが綺麗に刈り込まれているのだ。

その小さな谷間の畑周りは格好の虫撮りの場所だった。
夏蜜柑の木があり、サンショの木があり、柿、梅、柏の木があった。
季節折々にタンポポ、アザミ、ヒルガオヒガンバナ......etcが咲く場所だ。
それがなんと見事に草刈されているのだ。

昨日のご近所の空き地での草刈を見た時もガクッときたが、それは虫撮り人の勝手な心理で、農家の人のこの時期の草刈は当然の行為だ、そう分かっていても何かしら落ち着かないでいる。

帰り道山際の熊笹に今まで見たことがない毛虫を見つける。


毛虫はカシワマイマイ(ドクガ科)終令幼虫のようだ。(毒はない)
空き箱に入れて玄関の下駄箱の上に置いておいたが、脱走されてしまった。
探し回している私を見て、またも探しているのと言わんばかりの眼でカミサンが睨んでいる。
これまでに玄関先で何度脱走虫をさがしましたことだろう、睨まれるのも仕方ない。